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006




「この辺でいいかな…。ほら,フェラしてるのはわかります?」


テレビの中では女が長い髪をそっと押さえるようにして唇を窄め何度も頭を上下させていた。


「こんな風にギリギリのラインでモザイクをかける場合,1コマずつこのライン…」


といいながら男の指が女の口元から屹立する男性器と思しき輪郭のラインをなぞる。


「この一帯を範囲指定してその都度モザイクいれないといけないんスよ。そうすると二分のフェラシーンにモザイク載せるのに大体一時間くらいかかる」
「二分に…一時間」


思わず呟いた一護に男は「大変さ,わかってくれます?」と哀れを誘う調子でぼやいた。
つられてこくりと頷いた一護は,テレビ画面にじっと見入り,ぐにぐにと揺れ動くモザイクを見つめた。
そんなに手間がかかっているものだとは思わなかった。
二分に一時間だとしたら,この一本分には,いったいどれくらいの時間が費やされているのだろう。


しかしそこではたと気づく。


「や,ちょっと待て」
「はいな?」
「だからってなんでこんなでっかい音で流しっぱなしにしてんだアンタ」
「え,だって自分の仕事確認したいじゃないスか。だから仕事するときは大概流しっぱなしに」
「音消せよ!」
「え,音消したら意味ないっスよ。だって背中向けて作業してるんスもん」
「わけわかんね!背中向けてたら確認もへったくれもねーじゃねぇかッ!」


男は不意に口を噤んだ。
そしてまじまじと一護を見つめる。


「な,なんだよ」
「イヤ,云われてみればその通りだなって」


あはははは。
笑いながらそう云った男に,一護は頭痛を覚えた。


「……ほんとにアンタ,わけわっかんねぇ」


一護はがしがしと頭を掻き毟ると,ため息を吐きながらそう云った。











(2009.01.25)
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