「しょうがねぇよ」
振り向いた顔には困ったような笑み。
そのいろいろな感情を内包した表情に浦原は言葉をなくした。
「オマエのこと,好きなんだ。多分,何されても,裏切られてもそれは変わらねぇ」
「……きれいごとを」
醜く掠れた声が出た。
そんなことを云うつもりじゃなかったのに。本当に云いたいことはそんなことじゃないのに。
伝わるな――。
祈るような思いで目を瞑る。
「疑うのか?」
「疑いませんよ。信じられないだけ」
「らしくねぇな」
「……何が」
「びびってやんの」
一護は身体ごとこちらに向き直ると,早くも遅くもない足取りで浦原の元までやってきた。
真正面から浦原をまっすぐに見上げる。
浦原はその視線のつよさに耐えかねてすぐに視線を逸らした。
手が伸ばされる。
襟を掴まれ,名を呼ばれる。
「浦原」
「…………」
返事をせずに,そのまま視線を逸らしていると,掴まれた襟が強く引かれた。
「…っ」
押し付けられた唇。
その柔らかさに目眩がする。
技巧等なにもない,ただ思いを伝えるためだけの行為。
言葉でなしに感情が渦となって浦原の中に吹き荒れる。
まるで竜巻。
欺瞞も言い訳も全部なぎ倒していく。
その後に残るのは――。
「オマエが好きだ」
「…………」
「オマエは? もう俺なんかいらねぇ?」
強張った声に不安が滲む。
そんな言葉を聞かせるな。
そんな想いに気づかせるな。
激しい怒り全身を駆け抜ける。
しかしその根幹にあるものを,自分はもう知っている。
浦原は身体の脇にだらりとおろした腕を上げた。
一護の細い身体を抱く。
その肩に額を預け,もう,どうにでもなれ,と小さな声で呟いた。
「浦原…?」
窺う声に顔を上げ,素早くその頬に掌を押し当てた。
自分の手の冷たさに,一護が一瞬目を瞑る。
その隙を逃さず,口づけた。
唇で唇をなぞる。
その熱を,やわらかさを,愛しさを,自分に刻み込む。
「これが,答えです」
一護が「ばぁか」と小さく笑った。
腕の中の細い身体から力が抜け,くたりと馴染んだ。
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これもいつ書いたかよくわかんない…。
でも多分,ソウルソサエティから帰ってきた土下座の後の話を書こうとしてたんだ。
そんな朧げで曖昧な記憶があるような気がしなくもなくもない…。
(2007.06.12)